初めてのQSO



アマチュア無線の免許を取ったが、どう話をしたら良いのか分からない人は多いと思います。(2016/8/9)

インターネットには「交信例」はあってもその中身の説明が無いのです。

昔は先輩の交信を直接見聞きしたり、先輩相手に練習ということもありましたが、今は何でもインターネットで分かると思っているのでしょうか、何も考えずに出て迷惑を掛けるケースもあるやに聞きます。

ここではおせっかいにもどう話を持っていけば良いかの説明を致しますので、参考にしてください。

なお、岡山県倉敷市付近の風習ですので、地域によっては全く当てはまらない説明もあるはずです。


ここでは「4アマの方が電話での交信する」を前提とします。

周波数はよく使われている3.5MHzから430MHzあたりまでを対象とします。

電信やVoIP,FAX,SSTV,PSK31,JT65等は探すと良い説明があります。


CONTENT

  1. 最初に知っておくこと
  2. まずはワッチ
  3. CQを出している局を呼ぼう
  4. CQを出してみる
  5. より安定した交信を行うには

1.最初に知っておくこと

まずは復習です。

以上から、

となります。

もちろんVHFで海外との交信を目指す人もいますし、実際衛星通信では不可能ではありません。

それらは慣れてきてから挑戦ということで、以下に単純化したいと思います。

作法がSSBとFMの2種類があると思えば良いでしょう。


2.まずはワッチ

よくワッチ(受信)は基本と言います。

それではアマチュアバンドはどこを聞けば良いのか、という話になります。

短波(HF)の基本

V/UHFの基本

時間帯の基本

50MHzは短波とVHFの両方を兼ね備えたバンドです。

また、バンド内の使い方を決めたバンドプランというものがあります。

お上が「このあたりではこのモードを使いなさい」と決めたものです。

これを覚えるか、いつも参照できるようにしましょう。

アマチュアバンド使用区分

SSBは狭帯域の電話、FMは広帯域の電話の区分です。

聞こえやすいバンド、時間を選ばないとアマチュア無線の交信を捕まえることは意外と難しいです。

どうしても聞こえない場合、コンテストの開催されている日を狙うのも良いです。

コンテストは使用区分よりも周波数に制限があるので守ってください。

あと、クラスタというものもあります。

要は何時にこの局が聞こえたというのを報告しあう仕組みです。

カンニング的な要素も多分にあるので嫌う向きもありますが、そういう面では頼らずに今どのバンドが使えているのかを知るには良いでしょう。

以下、SSBとFMに分けて説明します。

SSBの場合

バンドプラン内で空いていると思われる周波数を使います。

特別な理由が無い限り交信中に周波数は変えません。

狭帯域の電話区分はバンドによってはかなり広いです。

バンド内での使われ方

基本はバンド内では低い周波数に利用が集中しています。

あまりにも低い周波数は海外との交信が主です。

高い周波数は長時間のラグチュー(おしゃべり)中心になってきます。

以下あたりを聞くと良いでしょう。

3.5MHzはアンテナの設置が大変、24MHz帯は相手があまりいないので、他のバンドで慣れてから出ると良いでしょう。

バンド よく使われている範囲 備考
3.5MHz 3.540MHz-3.570MHz LSB 1/2λダイポールが40mにもなる 日中はほとんど聞こえない 3.8MHzは海外交信用
7MHz 7.050-7.195MHz LSB 日中は日本国内くまなく聞こえるが、夜間は国内がスキップしてDX局が出てくる
21MHz 21.150MHz-21.300MHz USB F層反射が起きている場合はアンテナがそこそこの大きさでも日本国内によく飛ぶ
24MHz 24.940MHz-24.985MHz USB HFの中で最も閑散としているので、経済的に余裕が無い場合は無視しても良い
28MHz 28.400MHz-28.700MHz USB 普段はほとんど聞こえないがEスポが出ると遠距離が聞こえにぎやかになる
50MHz 50.150MHz-50.300MHz USB Eスポのメインバンドで比較的マナーが良く初心者には最適だが、冬は相手がいない
144MHz 144.100MHz-144.300MHz USB それなりのアンテナが必要で初心者向けとは言いがたいが移動運用であれば面白い
430MHz 430.100MHz-433.300MHz USB ビームアンテナ使用局が多いので、ビームから外れるとほとんど聞こえない

FMの場合

慣習で、呼び出し周波数(俗にメインチャンネルとかコールチャンネルと言われる)で待ち受けてその他の周波数へ変えてから交信を続けます。

モービル局が多いためと言われています。

緊急時には呼び出し周波数で助けを求めるわけですね。

呼び出し周波数からあまり離れていない周波数が良く使われます。

大体20KHzステップで使われていますが28MHzはスーパーナローFMと言って10KHzステップで使える無線機も存在します。

28MHzと50MHzは一応FMが許可になっているというだけで、コンディションが良くないとほとんど何も聞こえないでしょう。

144MHz以上はアンテナが小さくなるのと調整不要アンテナが多く出回っているのでモービル向きです。

周波数 呼び出し周波数 会話用周波数 備考
28MHz 29.30MHz 29.01-29.29MHz 普段はほとんど聞こえないがEスポが出ると遠距離が聞こえにぎやかになる
50MHz 51.00MHz 51.02MHz-51.98MHz 普段はほとんど聞こえないがEスポが出ると遠距離が聞こえにぎやかになる
144MHz 145.00MHz 144.72MHz-145.64MHz 地方ではかなりにぎやか 不法局が多い
430MHz 433.00MHz 432.12MHz-433.98MHz 都会ではかなりにぎやか 不法局が多い

残念な現実

短波の場合はオーバーパワー局、144MHz以上は移動する不法局が存在します。

前者は見分けが難しいですが、後者は見つけた場合、80条報告をするとともに相手にしないようにしましょう。

概して呼び出し周波数付近は少なく、バンドプランを守っていない局は不法局です。

呼び出し周波数は不法局が愉快犯で妨害を与えることもあります。

残念ですがそのような事態になった場合はこちらが不愉快になる前に他のバンドに移るのも手です。

また、SSBの場合、短波の場合だとリストQSO、144MHz以上の場合はマイクコントロールという仲介者が出てくることがあります。

これらには出来るだけ頼らないほうが良いでしょう。

もしおせっかいを受けたらこちらの送信機が壊れたということにして退散すべきです。


3.CQを出している局を呼ぼう

ワッチの勘所がつかめたらCQを出している局を呼んでみましょう。

共通の特徴

今までワッチしていたらパターンがあることに気づくと思います。

ここまではバンド、モードに関係無く行われていると思います。

コールサインは欧文通話表を使う場合が多いです。

一部分が聞こえなくても文字が想像できるのが良いところです。

同様に名前や地名を送る場合は和文通話表ですね。

RSレポートは信号の了解度(言っていることが理解できるか)と信号強度を2桁の数字で表したものです。

49<51ではありません。

信号強度が強くても音声が割れていると了解度は4以下になります。

最初のうちはある程度了解度の高い、信号の強い局を呼ぶべきです。

強い局は概して近所(ローカル)です。

一度交信したら10年の友ですから、最初のうちはローカル局と仲良くすることを考えましょう。

特定されない程度で詳しい場所を交換するのは有効です。

相手がビームアンテナを使っている場合にこちらへ向けてくれるかもしれません。

後日聞こえた場合も、特に忙しく無さそうであれば呼んでください。

何度も交信すると実際に会おうという話になったり(アイボールと言います)場合によっては物的支援が得られたりもします。

時々CQを出している局を複数の局が同時に呼んでいることがあります。

パイルアップと言います。

残念ながら世の中人気不人気があるのです。

パイルアップに打ち勝って応答があれば非常に面白いですが、最初のうちはいくら相手が強くてもパイルアップに参加するのは避けて、他に呼ぶ局がおとなしくなってからが良いでしょう。

あと、よく聞こえない場合は諦めてさっさと終えてしまいましょう。

「すみません了解できなくなりました。またよろしく。さようなら」

これは全く失礼に当たりません。

可能なら別の局と交信中に相手のコールサイン、名前、運用場所等言っている内容を控えておくと、いざ相手を呼び出した後にスムーズに事が運ぶでしょう。

但し、名前だけは相手が名乗る前には言わないほうが無難です。

もちろん2回目以降の交信の場合は言うと「よく覚えてくれた」とかえって親近感が増します。

以下、モード別の特徴を説明します。

SSBの場合

SSBはFMに比べて弱い信号でも了解できるので遠距離に届きやすいです。

また、混信があってもある程度分かるので、同時に複数局のコールサインを取る人もいます。

CQを出している局は暗に遠距離の局と、また、出来るだけ多くの局、県市郡、国と交信したがっていると理解してください。

しばらくワッチしてみてどういう意図かを汲み取り、パイルアップになっていたり長時間の交信を望んでいない場合はあれこれ質問するのは控えましょう。

実際交信内容は共通の項目を除くとせいぜい以下の内容まででしょう。

QSLカードの交換はほとんど必須になると思います。

通常は断らない限り交換することと捉えられています。

JARLに入っていないと相手にしてもらえないことが無きにしも非ずです。

FMの場合

FMは強い局しか音声になりません。

弱い局の混信の心配が少ないですが、パイルアップには不利なモードです。

交信時間はSSBよりは長めの交信が多いです。

SSBの場合に準じた内容ですが、会話の中身・面白さを重視する傾向が大きいです。

以下に例を挙げます。

等です。

明らかに近所に住んでいて、またQSOする可能性が高そうな局はログを付けるときに印をつけて、聞きたいことの準備をするのも良いです。

モービル局相手の場合やスケルチが開くか開かないかの場合は途中で交信できなくなる可能性もあるので、1回の送信は短か目が良いでしょう。

QSLカードは交換しない場合も多いです。

理由はJARLに入っていないだけでなく、走行中ログが取れない等の理由もあります。

相手から断られても怒らないようにしましょう。

真似をしない方が良い呼び方

コールサインは前半3文字をプリフィクス、それ以降をサフィクスと言います。

特に7MHzで呼ぶときにサフィクスしか言わない局がいますが、これはいけません。

最低2回やりとりをしないとコールサイン全部を了解できないためです。

必ず6文字全部言いましょう。

たまにCQを出している側が強要する場合がありますが、その局は自ら運用が下手だと公言している訳です。

他の局を呼びましょう。


4.CQを出してみる

ある程度慣れてきたらCQを出してみましょう。

誰が呼んでくるか分からないのは実に不安だと思いますが、大丈夫、99%うまく行きます。

知り合いは別として、赤の他人から呼ばれる理由は以下です。

要は付加価値のある、珍しいところから出ている局、遠くの局、信号が強い局、未交信の局の最低いずれかが該当する場合です。

これらが揃わない限り、まず呼ばれません。

も付加価値という面では有利ですが、日本国内の外国人は微妙なところです。

CQの出し方は今まで呼んだ経験から分かると思います。

CQ CQ CQ こちらは "コールサイン"  ○○市 どうぞ。

が基本です。

コールサインは欧文通話表を使うのが普通です。

移動運用やモービルだけでなく常置場所からでも送信地点を入れるのも良いでしょう。

たまにポータブルワンとかつけていながらどこから出ているのか分からない局がいますが、何とか市程度でも入れると付加価値が上がります。

ただ、7MHz SSBだとCQ時に湯の何番とか特定のアワード(賞状)のコードまで言う局がいますが、それはやりすぎだと思います。

7MHzはコンディションが安定しているので悠長なしゃべりでも間に合うのでしょうが...。

交信に入ってから必要な局に言うのは良いと思います。

(逆に言えば、HFの運用者は、ほぼアワードハンティングが目的ということも知っておくべきです)

CQは一度で諦めずに、何度か、せめて10回は出すほうが良いです。

コールサインがちゃんと了解できてから呼ぶ局が殆どなので、大概何度かCQを出した後に呼ばれます。

HFの場合はコンディションの急変があるので短く頻回に、V/UHFの場合はビームアンテナを向けてくれるかも知れないのでゆっくり目が良いです。

さて、誰かに呼ばれたらどうしよう。

・呼んだ局のコールサインが分からない

再度呼ぶよう言えば良いです。

一部分だけ分かっている場合は分かった部分を言えば相手も理解してくれます。

QRZ?だけではあまり良くないでしょう。

なお、自分を呼んで来たか分からない場合は無視して再度CQを出しましょう。

・信号が弱くて分からない

ビームアンテナを使っている場合は向き合わせのために呼び出しを長めに行うことを求められる場合もあります。

しかし、だめそうな場合は諦めて「次回お願いします」で大丈夫です。

・いやな局が呼んできた

聞こえなかったふりをしましょう。

しつこい場合は少し待って周波数を変えましょう。

決して「うるさい、呼ぶな」などとは言わないほうが良いでしょう。

・次に何を言えばいいか分からない

慣れない内は3.を元に想定問答集を作っておくと良いでしょう。

交信開始時間と相手のコールサインは必ずメモしましょう。

法的な必然性は無いですが、後々のことを考えてログブックにつけるのは基本です。

なお、呼んできた相手が優しい方だと逆に質問してきますので、それに答えれば良いです。

もちろん答えたくない設問は答えなくても良いですが、苗字と運用地点の概略だけは答えたほうが良いでしょう。

・間が持たず交信をやめたい

基本声でしか分からないので、何か事情を作って終わりにするのが良いです。

自宅なら家族から用事を受けた、食事の時間になった等。

移動地からならバッテリー切れ等。

モービルだと目的地到着。

本当のトラブルで無ければ、いきなり電源を落とすのは良くないでしょう。


5.より安定した運用を行うには

理想はタワーに大きなアンテナ、免許の範囲で大出力です。

しかしながらなかなか難しいと思います。

何点かヒントを示しますので参考にしてください。

・ハンディ機に付属のホイップアンテナしか持っていない

基本は屋外、特に高いビルや山の上から運用すると非常に良く聞こえます。

しかしなかなかそういう機会は無いと思います。

自宅を前提に、以下を改善するように考えてみましょう

・自家用車にモービル機

・工夫の余地が少ない条件だが、裏技的なものは無いのか


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最終更新日:2018/11/24 21:00 +0900

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