中波ラジオをFM変調で受信する


放送局は普通、スタジオのある演奏所と実際に放送波を出す送信所が別の場所にあることが多いです。

当然、この間を何らかの手段で繋ぐ必要があります。

有線回線で繋ぐのが一般的ですが、無線回線で繋ぐことも多いです。

この回線をSTLと呼びます。

さて、NTT中継回線が受信しておいしい理由の1つは、映像がFM変調されているので充分強力な信号であれば地上波のまま見るよりはるかに良い画質だからですね。

FM放送の中継波はこの点で受信しても苦労の割に得られるものが少ないので優位ではありません。

しかし、中波放送の放送波は狭帯域のAM変調で、お世辞にも音質が良いとは言えません。

もし、FM変調で聞けたらおいしいということになりますね。

そう、中波ラジオの中継波をFMで聞いてしまおうという試みです。


例によって総務庁の情報公開HPで検索すると、金甲山から怪しい10Wの信号が3つも出ています。

これは確かめる必要がありますね。

周波数 IF 局名
3446 1704 NHK第一
3451 1699 NHK第二
3455 1695 山陽放送

割り当ては以上です。

IFがかなり高いですが、一般的なCバンド受信用の局発が5.15GHzのLNBで受信できそうです。

LNBは出来ればワイドバンド対応の物が良いでしょう。

分配器は電流が片通電のものを使用します。

受信機には必ず通電無し側に繋ぎます。

12V電源は外付けHDDの電源だけを流用しました。

これは5Vも出ているので、こちらはIC-R3の電源に使いました。

昔のスイッチング電源なのでスイッチングノイズが激しくて中波や短波の受信には使えないですが、今回のように高い周波数の場合はあまり関係ないです。

写真左が分配器マスプロ2SPF、INにLNBを、OUTの通過側に12V電源(センター+)、非通過側にIC-R3アンテナ端子を接続する


LNBは裸でも良いのですが、今回は安定受信を求めて電磁ホーンアンテナを作ってみました。

NTT中継回線の受信にも使えます。

台形の高さが35cm、上辺(LNB側)が5.8cm四方、下辺が25cm四方です。

LNB側は数cm程度出しておいて、LNBの取り付け穴を空けると固定が楽です。

一応家の外に出して使いたいので、ダンボール箱+アルミホイルではなく、きちんとした銅版にしました。

銅にしたのは、はさみで切れてハンダ付け出来るからで、ボール版や長い金尺、カッター等の道具があればアルミ板の方が軽くて安いので有利です。

材料は、ホームセンターナンバ倉敷笹沖店で購入した0.1mmの銅版2枚です。

購入価格は1枚1050円でした。

ふにゃふにゃしているので、もっと厚みのある板の方が良いです。

寸法にそって台形4枚に切り取り、銅箔テープで4辺をくっつけてLNBをねじで固定しました。

そのままでは弱いので、各辺の数箇所をハンダ付けして外れにくくしました。

とはいえ、たぶんそんなに持たないような気もしますが。


結果、3波とも自宅で受信できました。(2001/12/1)

山陽放送は北に向けるとかなり強力でしたが、NHKは東に向けても弱いです。

おそらく、山陽放送の送信所がより倉敷よりだからでしょうね。

偏波はどれも垂直(V)のようです。

周波数ですが、当然ですが高くて帯域が映像伝送よりはるかに狭いので安定度が問題になります。

受信機側はワイドFMで受信し、+-200KHz程度のドリフトを考慮に入れて下さい。

手持ちのLNBでは、EchoStarのLNBでは+200KHz,ZINWELLのLNBでは-100KHzでセンターでした。


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