小笠原諸島旅行記1

父島でAPRS IGATEと移動局を立ち上げたのは初めてかな

2008/4/30-5/6に小笠原諸島へ行ってきました。

厳密に言うとここは東京都、警視庁の管轄で車は品川ナンバーですから全然海外ではありません。

しかしながらおがさわら丸で竹芝桟橋から25時間30分はかかるという、行く時間的にはグアムやサイパン以上に遠い場所なのです。

当然ですが、飛行機では行けません。

また、アマチュア無線の世界ではJD1から始まる識別信号が割り当てられている別エンティティとして知られています。


アマチュア無線

現地で運用してきたので、まずはアマチュア無線的な結果を紹介しましょう。

興味の無い方はを見てください。

父島は南海の孤島で、人工ノイズは全くありません。

今回は同じ場所で先客が1人、違う場所に1箇所2人が同じ時期に運用するという非常にやりにくい状況でした。

距離も近く、同じバンドでの運用はまず無理です。

コンディションが良くても相手の運用状況を見て出なければなりません。

幸いにも相互交流が出来て悪いしこりを残して終わることがありませんでした。

交信結果です。

SSB

BAND 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 DX 合計
3.5             1         1
7 30 14 18 8 6 5 3 1 1 2 3 91
14           1           1
18 7 3   4 3 8       2 2 29
21           1           1
合計 37 17 18 12 9 15 4 1 1 4 5 123

PSK31

BAND  1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 DX 合計
3.5                        
7 38 12 8 9 3 2 3 1 2 4 1 83
14       1         1   8 10
18 1 1 3 2 1 1 1       1 11
21                        
合計 39 13 11 12 4 3 4 1 3 4 10 104

MIX

BAND  1  2  3  4  5  6  7  8  9  0 DX 合計
3.5              1         1
7 68 26 26 13 9  7  6  2  3  6  4 174
14       1    1      1    8 11
18 8 4  3 6 4  9  1     2  3 40
21            1           1
合計 76 30 29 24 13 18 8 2 4 8 15 227

こんな感じで、人口の多い1エリアを例外として西高東低、北のほうは少なめという結果でした。

概してコンディションは悪く、21MHz以上はほとんど開けません。

50MHzは全く聞こえませんでした。

内地へはグランドウェーブでは届かないため、電離層反射や異常伝播が起きないと静かです。

DXは台湾、中国、グアム、ロシア、南アフリカ、ブラジル等出来ました。

設備は以下のような感じでした。

宿の境浦ファミリーはこちらです。

ツアーは避けて必ず宿に直接申し込んで「アマチュア無線をしたい」旨を伝えて下さい。

無線小屋へ行くには、宿から徒歩5分程度かかります。

夜は真っ暗で、道路はいつも湿っていて一度滑りこけてしまいました。

無線小屋です。

宿から徒歩5分程度かかります。

小屋の上はローテータの付いたルーフタワーです。

144/430MHz八木を上げてサテライトをする予定でしたが、アンテナが不調のため断念してAH-4+LWを上げました。

常設のアンテナはありません。

アンテナを設置したままだと台風が来たときに屋根が飛んでしまいそうです。

シャック内はこんな感じです。

NDXAの旗は先客が持ち込んだものです。

写真の右側には先客の設備が置いてあります。

PCはゼロスピンドルのEee PCを持ち込みました。

これでPSK31の運用もしました。

リニアアンプがありますが、私の免許内容はここです。


少し離れた場所にある常設アンテナです。

14/18/21/24/28MHzの2エレ八木と、50MHz 5エレ八木です。

私が運用したときは18/24MHzはまともでしたが、14/21/28MHzはマッチングがかなりずれていてアンテナチューナー無しでは厳しい状態でした。

写真にあるように周りの木が接近しているので影響しているのでしょう。

切ってしまいたいですが結構太いです。

本職のきこりの手が必要かもしれません。

写真のように、ほぼ毎日曇っていて時折大雨が降ってしまいました。


現地でUI-View32+AGWPE+PSK31用I/Fを使ってIGATEを仮設してみました。

インターネット接続はFOMA A2502定額データプランHIGH-SPEED+ハーティ割引(加入手数料免除、機種変更手数料免除、定額部分半額)を契約して準常時接続回線を確保しました。

そのままではプロトコル制限にかかってAPRS-ISへ繋がらないので、MobileFree.jpを使ってVPN経由で制限回避を行いました。

goo速度計測では0.02Mbpsが出ました。

20kbpsはPHSの1x相当ですね。

内地までは衛星経由しか回線が無いことを考えると意外と速いのではと思います。

Webは画像表示を切る事で充分な体感速度が得られます。

移動局もTH-D7AとGPSを持ち込んで宿の周りを歩いてみました。

トップの写真がそうです。

TH-D7Aの写真はおがさわら丸に乗船した時です。


APRSの記録です。

竹芝桟橋から出航時が上、帰港時が下です。

出航時は荷物の整理で一度部屋に帰ったので途中が飛んでいます。

帰港時は降りる準備のために途中で終わっています。


竹芝桟橋まで

4/30朝5:30頃家を出て、7:05岡山空港発のJAL機で羽田空港に行きます。

4/26から香港まで週3便就航しました。

もっと早く知っていればこっちにしたのに。

岡山県営の公衆無線LANです。

無料です。

有害なコンテンツは見れないようになっている場合もあるそうです。

コンセントもあります。

たぶん富士山です。
世間は平日なので客はあまり乗っていません。
浜松町までモノレールで移動して、南へ歩いて行きます。

途中首都高速の下を通ります。

そういえば、近所に同人誌即売会が良く行われるホールが無かったっけ?

10分程度歩いて竹芝客船ターミナルに到着です。
乗船待ちの人が並ばされています。
切符売り場です。

乗船券を人名票と搭乗券に引き換えます。

右側の人名票は名前や連絡先を記入します。

乗船時に渡します。

有事の際の連絡先として船会社が持っておくようです。

左側の搭乗券は下船時に渡します。

要は手元には何も残らない訳です。

伊豆七島向けヘリコプタ便の東京愛ランドシャトル空席状況です。

船よりは確実に渡れるようです。


おがさわら丸

おがさわら丸です。

一般人が父島に渡るには事実上この船しか手段がありません。

共勝丸というのもありますが、一般人が乗るのは現在では殆ど無理のようです。

緊急時は海上で離着陸できる飛行艇が飛ぶこともあるそうです。

搭乗開始です。

指定席券を持っている人からです。

私は今回特2等を取ったので、優先搭乗の恩恵に預れました。

甲板です。

船は5層構造になっていて、A,B,C,D,Eの各デッキに分かれています。

基本的に上に行くほど上級客の部屋です。

残念ですがエレベータやエスカレータの類は無いのでチャレンジドの方に取っては厳しい場面がありそうです。

特2等は寝台特急のB寝台に似ています。

2段ベッドがたくさんあって、片側が壁、片側が通路に面しています。

通路側はカーテンを引けば一応プライバシーが守れます。

棚、蛍光灯、網棚、ハンガーがあります。

コンセントは無いのでテレビの裏から引っ張るなど技が必要です。


2等です。

左右はともかく前後が短そうです。

白い袋が吊り下がっていますが、飛行機の席にある紙袋と同じ用途です。

金色の洗面器が置いてありますが、これもそうです。


自動販売機です。

回転式はタオルや石鹸等の雑貨を売っています。

飲料は350ccで160円でした。

ドクターペッパー7UP等ややマイナーなものもありました。

デッキの机と椅子です。

チェーンで繋がれています。



身障者用トイレです。

使うことは無かったです。

1箇所しかないのでわざわざここまで行くと間に合わないと思います。

今時健常者を排除する但し書きも珍しいです。

私はこのような札を常時胸につけておいたので、使う権利があったと思います。



レストランです。

途中1時間程度の休憩が数回ありますが、かなりの長時間営業しています。



いろいろ食べてみました。

上から行きの朝食、帰りの夕食、帰りの朝食です。

朝食と、昼、夕食はメニューが違います。

食べなかった時間は実は事前に持ち込んだ食料で凌ぎました。

昼夜は定食中心でステーキ1300円、朝食は皿ごとに値段が付いていて合計という方法です。

ちなみに朝食はどちらも800円程度かかりました。

乗船後インフォメーションに言うとブリッジと機関室を見学させてくれます。

ブリッジは舵やスロットルの他にレーダー、国際VHF等の無線、GPSにNAVTEX等の情報機器が多数装備されていました。

ハイテク機器ばかりでもなく、電源故障に備えて磁石式のコンパスも装備されていました。

緊急時には海図と六分儀を使って自船の位置を知るのでしょうね。

神棚もあって、最後はやはり神様に祈りましょうパンパンなのでしょう。

機関室はとにかくうるさいです。

エンジンは3機あって、そのうち1機が予備、2機をローテートして使うそうです。

発電機もありました。

貴重品を収納するボックスです。

暗証番号方式です。

ごみは分別です。

シャワー室です。

風呂はありませんが、シャワーは24時間使えます。

熱いお湯が出ます。

椅子は無いのですが、洗面器はあります。

シャンプーや石鹸の類はありませんが売っています。

物好きにもシャワー室で装具の交換をやってみました。

洗面器を椅子の代わりに使う技は韓国で実証済みなので、問題無く交換出来ました。

ややグロい写真ですが、ご勘弁を。

飽きることも無く25時間30分が過ぎて父島二見港へ到着です。

かなり派手なお出迎えです。

宿やダイビングショップの方がボードを手に客引きです。

ヤマト運輸の臨時受付です。

出航3時間前までに荷物を託すと同じ船で送ることが出来ます。

船内で使うことの無い物は必ず宅急便にしましょう。

荷物を預けたら伝票を発行してくれるので白い箱の中にある精算所で支払いです。

受付終了間際に持っていったので締まる寸前でした。

ちなみに父島、母島に荷物を送る場合、ゆうパックとヤマト運輸の宅急便以外は異常に高額になります。

佐川や日通などは事実上使えないと思ってください。

日付指定不可、クール宅急便不可です。

内地から小笠原諸島へ送る場合は4-10日のリードタイムを指定されるので、宿へ先送りしたいものがある場合は注意してください。

現地での配達はおがさわら丸入港の翌日になります。

待合室の共勝丸の受付です。
小笠原海運の受付です。
帰りも当然人名票を書きます。
出航間際は芋を洗うような大混雑になります。

やはり列を作らされます。

指定席客から乗船なのは同じです。

二見港出航も派手なお見送りが待っています。

南洋踊りや太鼓の演奏もありました。

出航直後です。

プレジャーボートやシーカヤックがあとから付いてきます。

シーカヤックは途中で横転してしまうのですが、船底に「またきてね」と書いてあって皆大笑いです。

乗っている人は皆こちらへ向けて手を振り続けています。

中には2人や3人で凝ったパフォーマンスを行う船もあります。

兄島まで来てもまだまだ追いかけてきます。

いつまでも追いかけてくるわけには行かないので途中で止まってしまいますが、大概乗っている人が海にダイブするという落ちになります。

最後まで追いかけてきたのは父島タクシーの船で、30分近く付いてきました。


ははじま丸で母島へ

5/2は母島へ行きました。

ははじま丸で2時間の旅です。

150人乗りの小さな船です。
やはり人名票を書かされます。

きっぷは現地でしか買うことが出来ません。

往復割引の類はありません。

燃油サーチャージのおかげで片道4000円以上します。

身障者は1種の方のみ割引だそうです。

裏も書く欄があります。
椅子席です。

昔の新幹線のシートに似ています。

並びは2-3-2でした。

テレビは港の中だけ映るようです。

船底には横になれる部屋もあります。
母島の沖港です。

ちなみに上陸時に靴底を消毒します。

外来生物を入れないためです。

ちゃんとパトカーもいます。

日産クルーでした。

警察官も降りてくる客を確認していました。

沖港の待合室内にある観光協会です。

ここで島内観光の受付をしています。

12:00-13:00はお昼休みなんですが。

4000円です。

8人乗りの1BOXにガイドが1人、客が7人でした。

本来は事前予約が必要だそうですが、空きがあれば飛び込みでもOKでした。

東京都小笠原支庁の母島支所です。
魚屋です。
漁協の売店です。

パンとジュースを買いました。

賞味期限は切れて無かったです。

農協と郵便局が合体しています。

ATMもありますが、農協のものです。

駐在所です。

警察官は2人だそうです。

なぜかビデオテープがいっぱいありました。

島で唯一の個人営業の商店です。

雑誌や薬品も扱っていました。

ここでもパンとジュースを買いました。

賞味期限が長い商品を置いているようです。

小笠原村役場の支所です。
かつて島で取れたという石で出来た建物です。
ヤドカリ注意です。
人間が持ち込んだ木のお蔭で植生が変化してしまったそうです。

復元を試みているそうです。

母島の北の端の北港です。

かつては400人ぐらいいたそうですが、戦時中疎開したあとは無人地帯です。

小学校の跡地です。

そういう気はしますがジャングルと化していて建物はありません。

未だ大砲が残るそうです。
高角砲だそうです。

もちろん使えないように壊されていますが、残っているのはすごいですね。

戦後多くはくず鉄として売られてしまう運命だったそうです。


境浦ファミリー

食堂とオーナー一家の家です。
私が泊まったのは食堂の西側の建物です。
部屋はこんな感じです。

右側にもベッドがあって、2人まで泊まれます。

テレビはMXTVを含めて東京都の地上波は全部見えるはずですが、テレビのチャンネル設定が悪いのかMXTVだけが見当たりません。

JCSAT-3Aを使った「小笠原方式」の地上波テレビはブロックノイズも無く意外ときれいでした。

NHK BS1/2も映りますが、BS/地上デジタルは無く、全てアナログ波です。

建物の前は立派な道路です。
10分程度西側へ歩くと沈船があります。
道路にはこのようなものが埋まっています。
洗濯物干し場兼ゴミ置き場です。

洗濯機はトイレ・風呂の中にあります。

父島で唯一という清水の湧き水です。

よそから水を汲みに来る人が絶えませんでした。

食堂入口です。


夕食です。

魚料理主体です。

おひつに入ったごはんは食べ放題です。

食後にはデザートのケーキが出ます。

量が多くて苦労しました。


朝食です。

おひつに入ったごはんは食べ放題です。

コーヒーが飲み放題です。

道路を挟んで海側で鶏を飼っています。

朝食の卵料理は自家製なのです。

食堂の東側にある物置です。

ワンボックスが3台あるようです。

中央の車は4WDです。

水源奥には神様を祀ってあります。

風呂やトイレは撮り忘れました。

風呂は24時間風呂でした。


父島

村営バスです。

日中ほぼ1時間間隔で運行しています。

運賃は均一で200円です。

身障者手帳を見せたら100円でした。

島民は定期パスがあるらしいです。

1-3日乗車券もあるようですし、ツアーによっては無料パス付きもあるようです。

レンタルバイクです。

6時間1800円でした。

当然ですが免許が無いと乗れませんし、交通取り締まりも行われています。

まんたんで返します。


ガソリンスタンドは2件ありました。

普通は漁協ではなくコスモ石油で入れることになると思います。

参考までにレシートです。

扇浦ですが、天気が悪いのでいまいちですね。
無線をやってみましたが、聞こえても届きません。

JAXAの地球局です。

道路標識はなぜかNASDAのままでしたが。

初音じゃないよ。
夜明山の防衛省のHF?アンテナです。

首無し二宮尊徳像がすぐそばですが、撮るのを忘れました。


国立天文台のVLBI電波望遠鏡です。

要は遠く離れた複数の電波望遠鏡の受信データを合成してより高解像度にするというものです。

警察署です。
郵便局です。

集配しないときはポストが封鎖されるようです。



丁度子供祭りをやっていました。

しかし、この後すぐに大雨が降って中止です。

子供はかなりの人数がいます。

親の世代も若くて、復帰後は移民の島というのがよく分かります。

かつて天皇陛下がお越しになったそうです。
集落の西の端に来るとこんなものが。
その隣は海上自衛隊の入口で、おしまいです。
携帯電話の基地局と思われるタワーの基礎は戦時中の要塞の基礎でした。
そこら中に壕が残っています。

ウェザーステーションです。

お天気観測施設というよりは、展望台で夕日を見る場所らしいです。

大雨だったのでその意味では役に立ちませんでした。

用途不明ですが、戦時中の施設を改装したのは明らかです。
雨も降って腹減ったので島寿司です。

八丈島が発祥で、小笠原と大東島だけで食されているそうです。

ズケになっていて味があり、食べるときに醤油はつけません。

1000円でした。持ち帰り可能です。

 


なぜかアメリカのスナックやドリンクを売っています。

欧米系の住民がいるからでしょうか。

沖縄宜野湾市の業者が輸入だそうです。

A&Wのルートビアはまさに沖縄で飲んだそれと同じ味でした。

別メーカのルートビアも飲んでみました。

こちらは缶に直接日本語と中国語(沙士)で書かれています。

値段は内地と同じでした。

最後に説明無しで現地の美しい景色を紹介して終わります。

また行きたいかと問われると、回答に困ってしまう場所でした。

たしかに気候も景色も良いけれど、行くのには不便です。


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